道徳教育広げたい 富山のNGO、
インドネシアへ自作教材

2008年10月30日 07:50

道徳教育広げたい 富山のNGO、インドネシアへ自作教材

教材作りについて打ち合わせする窪木代表(左)と野平准教授
=富山大五福キャンパス

 富山市のNGOインドネシア教育振興会(窪木靖信代表)はインドネシアの小学生向けに道徳・平和学習教材の制作を進めている。同会の理事を務める富山大人間発達科学部の野平慎二准教授(教育哲学)らが執筆に携わり、十二月中にも二千六百冊を貧困層の子どもたちが通う現地の五十校と教育機関に贈る。インドネシアは宗教や民族間の対立があり、貧富の格差が大きい。野平准教授らは「自分を高め、社会を変えていく力を付けてもらいたい」と教材に願いを託している。

 インドネシア教育振興会によると、インドネシアの小学校教育に「道徳」と位置付けられる授業はあるが、カリキュラムが整っていない。宗教や民族間の対立などから暴動や武力衝突が起きたり、貧困家庭で育った人が大人になっても貧しい暮らしを続けることが多い現状などを受け、道徳・平和教育を広げようと、今春から教材作りに着手した。

 教材は小学校中高学年向けで、野平准教授は相手の立場に立って理解する大切さを伝えるオリジナルの物語を執筆し、窪木代表は日本の昔話「はなさかじいさん」を翻訳した。現地の教育関係者ら三人も執筆し、努力を積み重ねることが成功に結び付くことや、互いの価値観を尊重する大切さなどを伝えている。B5判七十−八十ページになる予定で、現地の国立イスラム大学長が「自分たちの未来のために道徳を身に付けてほしい」と巻頭にメッセージを寄せた。

 教材は五十冊ずつ五十校に配布するほか、教育機関に百冊を贈る。十一月中に製本し、十二月には各校に配り、教材を活用した模擬授業を行う。窪木代表らは「教材を贈るだけでなく、教員に指導方法を身に付けてもらうなど、継続的に支援していきたい」と話す。


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