【富山】

インドネシアに善意 富山のNGO、道徳教材贈る

2008年12月21日

道徳・平和教材を寄贈する窪木靖信代表
=インドネシアで

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 インドネシアの教育支援に取り組む富山市のNGO「インドネシア教育振興会」の窪木靖信代表らが同国を訪問し、小中学校向けに製作した道徳・平和教材を寄贈した。民族間の争いや貧富の差が大きい同国で、道徳や平和教育によって民族や貧困問題を自ら乗り越えてほしいと期待している。

 振興会によると、同国では通常の教科の教科書も不足しているのが現状で道徳教育にまで手が回っていない。現地では、貧しい家庭から生まれた子どもが満足な教育を受けられず、大人になっても貧困から脱出できないという悪循環があるため、教材の製作を思い立ったという。

 窪木代表が昔話の「花咲かじいさん」を翻訳し、富山大の野平慎二准教授や趣旨に賛同したインドネシア国立イスラム大学の准教授ら現地の教育者も執筆に加わった。相手の立場に立って考えることの大切さや努力で成功につながることなどを盛り込んだ。

 出来上がった教材はB5判、約八十ページ。五十校に五十冊ずつ計二千五百冊を配布し、首都ジャカルタの教育機関などにも百冊を配る。

 窪木代表らが十五日にジャワ島のボゴール地区の小学校を訪問し、贈呈式を開催。公開授業で実際にどのように使うかも示した。

 窪木代表は「喜ばれるのか不安だったが、全校集会で迎えられ、現地の期待の高さがうかがえた。公開授業でも児童が興味を示し、先生も児童も興味が持てる教材に仕上がったと実感した」と話している。今後は教材を生かすための指導本づくりに取り組むという。 (稲田雅文)

http://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20081221/CK2008122102000194.html