2008年12月02日

インドネシア教育支援 

環境農園や道徳教科書
富山大のNGO

小学校の敷地で畑づくりに取り組むボランティアたち=インドネシア・ジャワ島で

 インドネシア教育振興会は、鉛筆やノートも満足にない中で勉強する現地の子どもたちを支援しようと窪木靖信代表(43)=富山市=が2000年に設立した。集めた文房具を贈る活動に取り組む傍ら、インドネシアの実情を視察するスタディーツアーを展開。ツアーにはこれまで大学生50人が参加した。


 富山大大学院生の太田昌宏さん(24)=高岡市=はツアーに3回参加。貧富の差が大きい現実を目の当たりにして、貧しい地域に住む人たちの生活改善を考えるうち農業に興味を持った。ベトナムやラオスで農業に触れ、大学の授業で栽培実習をして知識を深めた。

 今年9月に、ジャワ島の小学校の敷地内に畑を作るボランティア活動に参加。生ごみからつくった堆肥(たいひ)を使って畑にスイカや白菜の種をまき、パパイアやマンゴーの苗を植樹した。修士論文も発展途上国で普及が試みられている「複合循環型農園」を題材とする。

 来春の就職先は製造業で、農業とは別分野だが、タイに工場があるため、現地勤務を希望する考えだ。太田さんは「工場で勤務する人が農業も両立させ、安定した生活ができるようなシステムづくりができたら」と構想を温めている。

途上国の支援について話し合う中村明恵さん(中央)と太田昌宏さん(左から2人目)=富山市の富山大で

 教育学部4年の中村明恵さん(22)=富山市=は07年2月のツアーで小学校を視察し「普通に学べることはありがたいことなんだ」と実感。「何か協力したい」と、振興会が進めていた道徳教材の製作にかかわることにした。

 教材は、民族間の争いや暴動も絶えないインドネシアで、文化や出自の違いを教育で乗り越えられないかとの狙いがあった。日本の道徳の教科書を参考に翻訳した「花咲かじいさん」などを盛り込み、12月に小学校50校に50冊ずつ配る予定だ。

 中村さんは、小学校の教育実習で教壇に立った経験を生かし、1時間の授業で何を伝えるかといった狙いや時間配分、子どもへの問い掛けなど、授業進行のシナリオとなる「学習指導案」を提供した。現地の教師向けの指導本づくりに生かされている。

 中村さんは、来春から新潟県の小学校の教師として教壇に立つ予定だ。「教師として子どもたちと向き合っていく経験を生かし、今後も学習指導案を提供していきたい」と今後も教育支援に携わっていく考えだ。

(写真上)小学校の敷地で畑づくりに取り組むボランティアたち=インドネシア・ジャワ島で
(写真下)途上国の支援について話し合う中村明恵さん(中央)と太田昌宏さん(左から2人目)=富山市の富山大で

http://edu.chunichi.co.jp/gakusei/?p=522